屋根外壁塗装の相場とは?料金の内訳・費用例

2025年最新版の費用データをもとに、屋根・外壁塗装の相場と見積書の見極め方をご紹介。業界の実例や専門家のアドバイスを交えながら、適正価格で安心のリフォームを実現するための情報を提供します。
相場全体を把握する:屋根外壁塗装の費用目安

戸建て30坪の外壁塗装の坪単価と総額
戸建て住宅(約30坪/約100〜120㎡)の外壁塗装を検討する際、多くの方が最初に知りたいのが「総額はいくらか」と「坪単価や㎡単価はどれくらいか」です。ここでは、一般的な相場、内訳、そして費用の見え方をわかりやすく説明します。
① 坪単価・㎡単価の目安
一般的に、シリコン塗料を使った30坪住宅の外壁塗装では、坪単価5万〜7万円程度が相場とされています。これは㎡単価で換算すると 5,500〜6,500円/㎡ 程度に相当します。延べ面積100〜120㎡に対して掛け合わせると、総額は 約60万〜90万円 程度が標準です。
② 総額の内訳をイメージする
この価格帯に含まれる主な費用は以下のとおりです:
- 塗料代(主材費+下塗り・中塗り・仕上げ塗料)
- 足場設置費用
- 高圧洗浄
- 下地補修やクラック補修
- 養生(養生シート・テープ)
- 人件費・施工管理費
塗料グレードや補修の範囲、外壁の劣化状態によって工事規模が変わるため、見積書の内訳に注目することが大切です。
③ 坪数の増減による変動例
- 20坪住宅(70〜80㎡)…坪単価が若干アップする傾向があり、総額は 約40万〜60万円
- 40坪住宅(130〜160㎡)…面積が増えることで人件費や足場配置の複雑化も影響し、坪単価がやや下がるケースもありますが、総額は 80万〜120万円前後
- 50坪超の大型住宅では、100万〜150万円以上になることも珍しくありません。
④ 相場が変動する要因(比較のポイント)
- 塗料の種類・グレード:シリコン、フッ素、無機系などによって㎡単価が異なる
- 補修が必要な劣化状況:ひび割れ補修・コーキング打ち直し・腐食部分の修理などがあると追加費用が発生
- 住宅の形状・高さ:3階建てや軒高の高い住宅では足場代がアップ
- 施工業者の対応:地域・経験の差、職人の数、保証内容の有無などによって金額に乖離が出る
坪数別・㎡単価別 相場目安(20坪/30坪/40坪)
外壁塗装の費用を考えるうえで、坪数(住宅の延べ床面積)や㎡(施工面積)ごとの単価は非常に重要な指標です。ここでは、一般的な戸建て住宅で多く見られる20坪・30坪・40坪のケースを例に、相場の目安をわかりやすく解説します。
① そもそも「坪数」と「㎡数」の違いとは?
- 坪数(延べ床面積):建物の1階と2階などの総床面積を「坪」で表現(1坪=約3.3㎡)
- ㎡数(施工面積):外壁塗装に実際に使用する面積。延べ床面積の1.2~1.5倍程度になることが多い
例えば、30坪の住宅なら外壁の施工面積は**約100〜120㎡**程度になるのが一般的です。
② 20坪住宅の外壁塗装相場
- 延べ床面積:約66㎡、外壁面積:約80〜100㎡
- 相場価格:45万円〜70万円程度
- ㎡単価:5,000〜7,000円/㎡
小規模な住宅の場合、坪単価・㎡単価はやや高めに設定される傾向があります。これは、塗料や足場などの固定費が規模にかかわらず必要なため、相対的に割高に見えるためです。
③ 30坪住宅の外壁塗装相場(標準)
- 延べ床面積:約99㎡、外壁面積:約100〜120㎡
- 相場価格:60万円〜90万円程度
- ㎡単価:5,500〜6,500円/㎡
30坪の住宅は日本で最も一般的なサイズの戸建てであり、相場情報も豊富です。この㎡単価の中には、塗料費・足場代・下地処理などの標準工程が含まれています。
④ 40坪住宅の外壁塗装相場
- 延べ床面積:約132㎡、外壁面積:約130〜160㎡
- 相場価格:80万円〜120万円程度
- ㎡単価:5,000〜6,000円/㎡
住宅の規模が大きくなるにつれて、㎡単価がやや下がる傾向があります。理由は、1回の設置で足場面積が増えるためコストパフォーマンスがよくなるほか、作業効率も上がるためです。反面、劣化が進んでいる場合や3階建てになると逆に割高になるケースもあります。
⑤ 実際の相場が単価よりブレる理由
たとえ㎡単価が一定でも、以下の要素で価格は簡単に変動します:
要素 | 価格への影響 |
---|---|
塗料のグレード | フッ素・無機系など高耐久な塗料は高額になる |
補修の有無 | ひび割れ補修・シーリング打ち替えで増額 |
住宅の形状・高さ | 凹凸や軒の長さ、3階建てなどでコスト増加 |
地域性・職人の単価 | 都市部と地方で人件費や経費が変動 |
保証・サービスの内容 | アフターケア付きや長期保証付きは高め |
見積もりの際には、㎡単価だけでなく「何が含まれているのか」を必ず確認しましょう。
価格差の要因(塗料グレード・補修が必要な範囲)
外壁塗装の見積もりを数社から取ると、「金額にバラつきがある」「A社は80万円、B社は100万円…どちらが正しい?」と迷うことがあります。この価格差は決して業者の“ぼったくり”だけではなく、使用する塗料の種類や補修工事の範囲の違いによって生じることがほとんどです。
ここでは、外壁塗装の価格を左右する代表的な要因を解説します。
① 塗料のグレードと価格の違い
塗料にはさまざまな種類があり、グレードが高いほど耐久年数が長く価格も高くなります。以下に代表的な塗料の種類と特徴、相場単価を比較します:
塗料の種類 | 耐用年数 | ㎡単価の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 5〜7年 | 1,200〜1,800円 | 最も安価だが耐久性が低い |
ウレタン塗料 | 7〜10年 | 1,500〜2,000円 | 柔軟性がありコスパ良いが劣化早め |
シリコン塗料 | 10〜15年 | 1,800〜2,800円 | 標準的でバランスの取れた性能 |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,000〜4,500円 | 高耐久で長寿命だが高額 |
無機塗料 | 20年以上 | 3,500〜5,000円 | メンテナンス回数が最も少ない |
ラジカル制御塗料 | 12〜15年 | 2,500〜3,500円 | 紫外線に強く、次世代型塗料 |
たとえば、同じ30坪の家でもシリコン塗料で70万円、無機塗料で100万円になることも。長く住み続ける予定かどうかで選ぶ塗料は変わってきます。
② 下地補修の有無と規模による費用変動

塗料以外に価格を左右するのが、外壁の補修の必要性です。築年数が経っている家ほど、塗装前の「下地処理」にかかる費用が増える傾向があります。
よくある補修項目と費用感は以下の通り:
補修内容 | 相場目安(30坪) |
---|---|
クラック(ひび割れ)補修 | 5,000〜20,000円程度/箇所 |
コーキング打ち替え | 10〜25万円程度 |
シーリング増し打ち | 8〜15万円程度 |
モルタル剥がれ補修 | 1〜3万円程度/箇所 |
サイディングの浮き補正 | 数千円〜数万円/箇所 |
塗装だけを考えていたのに、見積もりで補修が多く含まれて高額になるケースは少なくありません。ただし、こういった補修は放置すれば雨漏りや壁内部の腐食につながるため、決して無視できない工事です。
③ 見積書の見比べ方:価格差の背景を見極める
複数の見積もりを比較するときは、金額の多寡だけでなく、**「何が含まれているか」**をしっかり確認することが大切です。たとえば、以下のようなチェックが有効です:
- 同じ塗料名でも「メーカー」「グレード」が違う場合がある
- コーキングが「打ち替え」か「増し打ち」かで費用も耐久性も異なる
- 下塗りの工程が「1回塗り」か「2回塗り」か(塗膜の持ちに差が出る)
- 「足場代」や「養生費」が別途になっていないか確認
安い見積もりには、必要な工程が省かれている可能性もあります。金額の差に納得できるかどうかが、最終的に業者選びの決め手になります。
屋根塗装の㎡単価(屋根材別:スレート・金属など)

外壁塗装とあわせて検討されることが多い「屋根塗装」。外壁よりも劣化が早く、紫外線・風雨・熱の影響を強く受けるため、定期的なメンテナンスが必要です。とはいえ、屋根の形状や材質によって塗装の費用が大きく異なるため、相場を知っておくことが大切です。
このセクションでは、屋根材の種類別に見る㎡単価の目安と、価格が変動する要因について詳しく解説します。
① 屋根塗装の㎡単価は外壁より高め
外壁と比べて、屋根は高所作業・傾斜作業となるため、安全対策・施工難度が増し、その分単価はやや高めに設定されます。目安としては以下の通り:
項目 | ㎡単価(目安) |
---|---|
外壁塗装 | 約5,000〜6,500円/㎡ |
屋根塗装 | 約6,000〜8,000円/㎡ |
※上記は一般的なシリコン塗料の場合。塗料の種類によって変動します。
② 屋根材別の㎡単価と特性
屋根の素材によって、塗装に使う塗料や施工手法が異なるため、㎡単価にも差があります。以下に主要な屋根材と相場の目安を示します。
1. スレート屋根(カラーベスト)
- 日本の住宅で最も多く使われている屋根材
- ㎡単価:6,000〜8,000円前後
- 軽量で安価だが、吸水性があり劣化しやすいため、10年ごとに塗装が必要
- 下地補修(ひび割れ補修、棟板金の交換)が必要になることも
2. 金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン)
- 近年人気が高まっている軽量・耐震性に優れた屋根材
- ㎡単価:7,000〜9,000円前後
- 錆びやすいため、錆止め塗装+上塗りが基本
- 傷つきやすく、施工時の取り扱いに注意が必要
3. セメント瓦・モニエル瓦
- 重厚感のある外観が特徴だが、現在は新築ではあまり使われない
- ㎡単価:8,000〜10,000円前後
- 塗膜が剥がれやすいため、専用の下塗り材が必要(吸水性が高いため)
- 表面の高圧洗浄や処理に時間と手間がかかるため費用も高め
4. 陶器瓦(塗装不要)
- 一部の見積もりでは「屋根塗装込み」として提示されることがあるが、陶器瓦は基本的に塗装不要
- 表面の釉薬によって高い耐候性があり、塗装によるメンテナンスは必要ない
- ただし、漆喰の補修や瓦のズレ・割れは別途必要になることも
③ 屋根形状による価格変動
同じ屋根材でも、屋根の形や傾斜の角度(勾配)によって価格が上下します。
- 急勾配(傾斜がきつい屋根):作業が困難で足場も特別なものが必要 → 単価が上がる傾向
- 複雑な形状(寄棟・切妻・陸屋根など):屋根面積が増えたり、施工の手間が増える → 工賃増加
- 2階・3階建て:高所作業で危険度が増すため、労務費・足場代も増える可能性あり
④ 塗料のグレードによる違い
屋根は直射日光を強く受けるため、耐候性の高い塗料が推奨されます。塗料の選び方次第で単価は変動します:
塗料の種類 | 耐用年数 | 屋根の㎡単価目安 |
---|---|---|
シリコン系 | 約10〜15年 | 約6,500〜8,000円 |
フッ素系 | 約15〜20年 | 約8,000〜10,000円 |
遮熱塗料(+α) | +断熱効果 | +500〜1,500円/㎡ |
※「遮熱塗料」は夏の室内温度を下げる効果があり、省エネ対策にも有効。費用は少し高くなりますが、快適性と光熱費の削減が期待できます。
耐久年数と再塗装サイクル
屋根塗装・外壁塗装の費用対効果を考えるうえで欠かせないのが「塗料の耐久年数」と「再塗装のサイクル」です。長持ちする塗料を選べば、初期費用は高くても長期的なメンテナンスコストを抑えることができます。
ここでは、各塗料の耐用年数の違いや、屋根・外壁それぞれの再塗装目安について詳しく解説します。
① 塗料ごとの耐久年数比較
一般的に使われる塗料の種類と、その耐久年数の目安は以下のとおりです。
塗料の種類 | 耐久年数(目安) | 特徴 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 約5〜7年 | 最も安価だが紫外線に弱く劣化が早い |
ウレタン塗料 | 約7〜10年 | 柔軟性があり施工性◎だがやや短命 |
シリコン塗料 | 約10〜15年 | 現在主流。価格と性能のバランスが良い |
フッ素塗料 | 約15〜20年 | 高耐久・高価格。長期的に見ればコスパ◎ |
無機塗料 | 約20〜25年 | 最も長寿命。塗膜が強く紫外線にも強い |
ラジカル制御型塗料 | 約12〜15年 | 劣化因子を抑える次世代型塗料 |
耐用年数が長い塗料ほど、1回あたりの塗装コストは高くなりますが、再塗装の回数が減る=長期的なコスト削減に繋がります。
② 屋根と外壁で異なる塗装サイクル
実は、屋根と外壁では劣化のスピードが異なるため、塗装の頻度にも差があります。
部位 | 劣化要因 | 塗装サイクルの目安 |
---|---|---|
外壁 | 雨・紫外線・風 | 10〜15年に1回 |
屋根 | 直射日光・雨風・熱・雪 | 8〜12年に1回(早め) |
屋根は、昼夜の温度差・紫外線・積雪などによって外壁よりも劣化が早く進むため、再塗装のタイミングも早めになります。そのため、屋根と外壁は同時に塗装してタイミングを揃えるのがコスト面・効率面で有利です。
③ 塗装時期を見極める5つのサイン
耐久年数はあくまで目安であり、実際の劣化具合に応じて判断することが重要です。以下のような症状が見られたら、再塗装を検討しましょう。
- 色あせ・チョーキング:壁を触ると白い粉がつく状態。塗膜が劣化している証拠です。
- ひび割れ(クラック):放置すると水が侵入し、建材の腐食や雨漏りにつながります。
- 塗膜の剥がれ・膨れ:塗料が劣化して下地との密着力が失われています。
- コケ・カビ・藻の発生:防水性が低下しているサイン。外観も悪化します。
- 金属部分のサビ:特に屋根や鉄部は、早急な塗装が必要です。
このような劣化を早めに発見すれば、大規模な修繕が必要になる前に手を打つことができ、コストを最小限に抑えられます。
④ 塗料選びと再塗装サイクルの戦略的な考え方
塗装にかかる費用は、短期的に見れば「高い・安い」ですが、長期的な視点では「何年保つか」がもっとも重要です。以下は、30年間でのメンテナンス費用のイメージ比較です。
塗料の種類 | 1回あたり費用 | 塗装回数(30年) | 総費用目安 |
---|---|---|---|
ウレタン塗料 | 約60万円 | 3回(10年周期) | 約180万円 |
シリコン塗料 | 約70万円 | 2回(15年周期) | 約140万円 |
フッ素塗料 | 約90万円 | 1〜2回(20年周期) | 約90〜180万円 |
無機塗料 | 約100万円 | 1回(25〜30年) | 約100万円 |
長く住む予定の家であれば、初期費用が高くても耐久性の高い塗料の方が総費用は安く済む可能性が高いということです。
外壁との同時施工によるコストメリット
屋根塗装と外壁塗装は、築年数や劣化状況にもよりますが、多くの場合で同時に施工するのがコストパフォーマンスに優れた選択になります。実際に施工業者も「セット施工」を推奨することが多く、その理由には費用面・施工効率・耐久性といった複数のメリットが存在します。
このセクションでは、外壁と屋根を同時に塗装することで得られる経済的・実務的な利点について詳しく解説します。
① 足場代を1回で済ませられる
塗装工事における大きなコストの一つが「足場代」です。足場は、安全に高所作業を行うために必須ですが、以下のような費用がかかります:
項目 | 費用相場(30坪の場合) |
---|---|
足場設置費 | 約15万円〜25万円 |
養生・管理費 | 約2万円〜5万円 |
仮に、屋根塗装と外壁塗装を別々のタイミングで行うと、それぞれに足場を設置しなければならず、足場代が2倍かかることになります。これだけで10万〜20万円の差が出るのは珍しくありません。
一方、同時施工にすれば足場は1回で済むため、この部分のコストを大きく削減できます。
② 作業効率が上がるため人件費も抑えられる
屋根と外壁の塗装作業は、使用する塗料や手順は異なるものの、多くの工程が共通しています。たとえば以下のような共通作業があります:
- 高圧洗浄
- 養生作業(ビニール・マスキングなど)
- 足場の上り下り
- 塗装工程(下塗り・中塗り・上塗り)
これらを別々に行うよりも、一括で行う方が圧倒的に効率的です。その結果、職人の拘束日数が減り、人件費を含む施工費全体の圧縮が可能になります。
③ 外観の統一感が得られる
屋根と外壁を別々に塗装すると、「屋根だけ色が新しい」「外壁だけキレイ」といった見た目のバランスが悪くなることがあります。同時に塗装すれば、以下のようなメリットが得られます:
- 色の統一感が出る
- 家全体の印象が引き締まる
- デザインに一貫性を持たせられる
特に屋根と外壁の色の相性は重要であり、プロのカラーシミュレーションを活用して一括でデザインすることで、満足度の高い仕上がりになります。
④ メンテナンスサイクルを揃えられる
外壁と屋根を別々に塗装すると、次のメンテナンス時期もズレてしまいます。
- 10年後に屋根塗装(足場必要)
- 5年後に外壁塗装(また足場必要)
このように、足場費用や作業の手間が数年おきに繰り返されることになります。
しかし、同時施工をしておけば次回のメンテナンス時期も揃うため、将来的にも効率的な保守計画が立てやすくなります。
⑤ セット割引・パッケージプランの利用が可能
多くの塗装業者は「屋根+外壁セット施工」の際に特別な割引プランやキャンペーンを用意しています。よくある例としては:
- セット価格で総額から5〜10万円引き
- 足場代無料キャンペーン
- カラーシミュレーション無料サービス
こうした業者側のインセンティブを活用すれば、同時施工の経済的メリットはさらに広がります。
塗料別の費用比較と耐久性

アクリル塗料の特長と費用相場
外壁や屋根の塗装で最も古くから使われてきた塗料のひとつに「アクリル塗料」があります。かつては安価で手軽に施工できることから多くの住宅で採用されてきましたが、近年は耐久性や機能性の面で他の塗料に取って代わられるケースが増えています。
ここでは、アクリル塗料の特長と費用相場について詳しく解説し、現代の塗装選びにおける位置づけをお伝えします。
① アクリル塗料の特長
アクリル塗料の最大の魅力は、価格の安さと施工のしやすさにあります。主に以下のような特長があります。
- 安価で購入しやすい
他の塗料と比較して価格が抑えられており、初期費用を抑えたい場合に選ばれやすい。 - 乾燥が速い
塗料の乾燥が比較的早いため、工期を短縮できるメリットがある。 - 色数が豊富
多彩な色展開があり、デザイン性の高い仕上がりが可能。
しかし、一方で以下のデメリットもあります。
- 耐久年数が短い(5〜7年程度)
紫外線や雨風に対する耐候性が弱いため、塗膜が早く劣化しやすい。 - 防水性がやや劣る
吸水性が高い素材では特に効果が薄れ、頻繁なメンテナンスが必要。 - ひび割れが起こりやすい
柔軟性が低いため、建物の動きに対して追従しにくい。
② 費用相場
アクリル塗料を使った屋根・外壁塗装の費用は、塗料自体の安さもあり、相場としては**㎡あたり3,000〜5,000円程度**が目安です。
例として、30坪(約100㎡)の住宅の場合、
- 屋根塗装のみ:約30〜50万円
- 外壁塗装のみ:約30〜50万円
- 屋根+外壁セット施工:約60〜90万円
といった費用感になります。
ただし、頻繁に再塗装が必要になるため、長期的に見ると他の塗料を選ぶ場合より総費用は高くなることもあります。
③ アクリル塗料を選ぶべきケース
近年では、耐久性の高いシリコンやフッ素塗料が主流となっているため、あえてアクリル塗料を選ぶシーンは限られていますが、以下のようなケースで検討されることがあります。
- 予算が非常に限られている場合
初期費用をできるだけ抑えたいが、短期間だけでも美観を保ちたいとき。 - 建物の用途が一時的な場合
賃貸物件や仮設住宅など、数年以内に建て替えや大規模改修が予定されているケース。 - 付帯部(鉄部や木部など)に使用する場合
外壁や屋根ではなく、比較的劣化が早い部分に一時的な保護として塗ることも。
④ 注意点とおすすめの対策
アクリル塗料を選ぶ場合は、耐久性の低さをカバーするために以下の対策を検討しましょう。
- 定期的なメンテナンス計画を立てる
5〜7年ごとに点検と必要に応じて部分補修を行い、劣化の進行を防ぐ。 - 下地処理を丁寧に行う
ひび割れ補修や洗浄をしっかり行い、塗料の密着を良くすることで耐久性向上を図る。 - 場合によっては他の塗料との併用
付帯部など耐久性の求められる箇所はシリコン系塗料を使うなど使い分けも有効。
ウレタン塗料の特長と費用相場
屋根・外壁塗装でよく使われる塗料のひとつに「ウレタン塗料」があります。アクリル塗料より耐久性が高く、施工性も良いことから、多くの住宅で採用されてきました。とはいえ、現在はシリコン塗料やフッ素塗料に主役を譲る傾向もあります。
ここではウレタン塗料の特長と費用相場を詳しく解説し、塗装選びの参考にしていただければと思います。
① ウレタン塗料の特長
ウレタン塗料は、合成樹脂を主成分とした塗料で、アクリル塗料よりも柔軟性があり、密着性に優れている点が大きな特徴です。
- 耐久年数は約7〜10年
アクリルより耐候性が良く、紫外線や雨風にも強いため、塗り替えの間隔を延ばせる。 - 施工性が良い
塗膜が柔らかいため、複雑な形状の箇所にも馴染みやすく、塗りやすい。 - 光沢が比較的高い
仕上がりが美しく、外観を重視する住宅に適している。 - 価格はアクリルよりやや高め
それでもまだ手頃な価格帯で、コストパフォーマンスが良い。
デメリットとしては、
- 耐久年数がシリコン塗料に劣る
約7〜10年といえど、メンテナンスの頻度が増える可能性がある。 - 紫外線に弱い
長期間直射日光にさらされると、劣化が進みやすい。
② 費用相場
ウレタン塗料を使用した屋根・外壁塗装の費用相場は、㎡あたり約4,000〜6,000円程度です。
30坪(約100㎡)の住宅で計算すると、
- 屋根塗装のみ:約40〜60万円
- 外壁塗装のみ:約40〜60万円
- 屋根+外壁セット施工:約80〜110万円
アクリル塗料よりはやや高額ですが、耐久性と仕上がりのバランスを考えれば十分コストパフォーマンスは良好と言えます。
③ ウレタン塗料を選ぶべきケース
ウレタン塗料は、次のような状況で選択されることが多いです。
- 予算を抑えつつ耐久性も求めたい場合
シリコン塗料ほど高価ではないが、ある程度長持ちする塗料を探しているとき。 - 外壁や屋根の形状が複雑で施工性が求められる場合
柔軟性があるため、細かな部分にも塗りやすい。 - 短中期的にメンテナンスを計画している場合
7〜10年ごとの塗り替えを見据えている場合に適している。
④ 注意点とおすすめの対策
ウレタン塗料を使う際には、以下のポイントに注意してください。
- 紫外線対策として、日当たりの良い部分にはトップコートを追加することも有効
これにより耐候性がアップする。 - 定期的な点検と補修を怠らない
塗膜の剥がれやひび割れを早期に発見し、部分補修を行うことで寿命を延ばせる。 - 信頼できる施工業者を選ぶ
ウレタン塗料は施工の仕上がりが耐久性に直結するため、丁寧な工事が重要。
シリコン塗料の特長と費用相場
屋根や外壁の塗装において、現在もっとも主流となっているのが「シリコン塗料」です。耐久性とコストのバランスが非常に優れているため、幅広い住宅で選ばれています。シリコン塗料の基本的な特長や費用相場について、詳しく解説します。
① シリコン塗料の特長
シリコン塗料はシリコーン樹脂を主成分とした塗料で、耐候性・耐汚染性・耐熱性に優れている点が最大の魅力です。
- 耐久年数は約10〜15年
紫外線や風雨に強く、長期間にわたって美観と機能を維持できる。 - 耐汚染性が高い
汚れが付着しにくく、雨で自然に汚れを洗い流す「セルフクリーニング効果」がある。 - コストパフォーマンスが高い
フッ素塗料などの高級塗料より安価でありながら、高い性能を発揮。 - 塗膜が柔軟でひび割れしにくい
建物の微細な動きにも追従しやすい。
② 費用相場
シリコン塗料の費用は㎡あたり約5,000〜7,000円程度が目安です。30坪(約100㎡)の住宅で見ると、
- 屋根塗装のみ:約50〜70万円
- 外壁塗装のみ:約50〜70万円
- 屋根+外壁セット施工:約100〜130万円
高耐久でメンテナンス頻度が少ないため、長期的にはコストパフォーマンスに優れる選択肢です。
③ シリコン塗料を選ぶべきケース
- 長期間メンテナンスコストを抑えたい場合
10年以上美観を保ちつつ、塗り替えの頻度を減らしたい住宅に最適。 - 耐候性や耐汚染性を重視する場合
雨風や紫外線、ホコリや排気ガスによる汚れに強い塗料を求める時。 - 費用対効果のバランスを重視する場合
フッ素塗料ほど高価でなく、アクリルやウレタンより耐久性を重視する方におすすめ。
④ 注意点とおすすめの対策
- 塗装の品質に注意
シリコン塗料は性能が良い反面、施工不良があると耐久性が大きく落ちるため、信頼できる施工業者を選ぶことが重要。 - 下地処理をしっかり行う
塗装前の洗浄や補修を怠ると、塗膜の剥がれや劣化が早まる。 - メンテナンスは10〜15年を目安に
定期的な点検を行い、劣化箇所の早期補修を心がけると良い。
フッ素塗料の特長と費用相場
屋根や外壁の塗装において、最も高性能な塗料の一つが「フッ素塗料」です。耐久性・耐候性に優れており、長期的な美観維持と建物保護に最適とされています。ここでは、フッ素塗料の特長や費用相場を詳しく解説し、他の塗料との違いや選び方のポイントを紹介します。
① フッ素塗料の特長
フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分とした塗料で、非常に高い耐候性や耐汚染性を持つのが最大の特徴です。
- 耐久年数は約15〜20年以上
長期間紫外線や風雨に強く、塗膜が劣化しにくい。 - 耐汚染性・防汚性に優れる
汚れが付きにくく、雨水で自然に汚れを落とす効果も期待できる。 - 耐熱性が高い
屋根や外壁が高温になる環境でも性能を維持。 - 塗膜の硬さがあり、傷や擦れに強い
外的ダメージに対しても耐性が高い。
② 費用相場
フッ素塗料は高性能である反面、費用は高めです。㎡あたりの相場は約8,000〜12,000円程度。
30坪(約100㎡)の住宅の場合、
- 屋根塗装のみ:約80〜120万円
- 外壁塗装のみ:約80〜120万円
- 屋根+外壁セット施工:約160〜240万円
初期費用は高額ですが、耐久性の高さから長期的なメンテナンス費用は抑えられます。
③ フッ素塗料を選ぶべきケース
- 長期間にわたり建物の美観を維持したい場合
15年以上の耐久性を求め、塗り替え頻度をできるだけ減らしたいとき。 - 厳しい気候条件や都市部の汚染環境での施工
紫外線が強い地域や排気ガス・粉塵が多い都市部に適している。 - 資産価値を重視し、長期的なコスト削減を目指す場合
初期費用は高いが、長い目で見れば塗り替え回数が少なく済むためコスパが良い。
④ 注意点とおすすめの対策
- 施工には高い技術力が必要
フッ素塗料は塗膜の性能を最大限引き出すために、下地処理や塗り方が重要。信頼できる専門業者の選定が不可欠。 - 初期費用の負担を考慮
高額なため予算とのバランスを検討し、長期的な視点で費用対効果を判断する。 - メンテナンスは基本的に15年以上先
ただし定期的な点検は必須で、細かな補修で塗膜を維持することが長持ちの秘訣。
無機塗料とラジカル制御型の違い
屋根や外壁の塗装に使われる塗料は日々進化しており、近年注目されているのが「無機塗料」と「ラジカル制御型塗料」です。これらはどちらも高い耐候性を持ち、長期間にわたって建物を守る性能を持っていますが、成分や効果のメカニズムに違いがあります。ここでは両者の特徴と違いをわかりやすく解説します。
① 無機塗料とは?
無機塗料は、主に「無機成分」を含む塗料で、セラミックやガラス成分を多く含むため非常に耐久性が高いのが特徴です。紫外線や熱、酸性雨などの環境ストレスに強く、塗膜が劣化しにくい点が大きなメリットです。
- 耐久年数は約15〜20年以上
長期間にわたって色あせや劣化を抑え、建物の美観を維持。 - 耐熱性・耐候性が非常に高い
高温多湿の環境でも塗膜が安定しやすい。 - 防汚性・耐薬品性に優れる
汚れが付きにくく、酸性雨などの影響も受けにくい。
ただし、無機成分が多いため、塗料自体の柔軟性は低く、施工時の取り扱いには注意が必要です。
② ラジカル制御型塗料とは?
ラジカル制御型塗料は、近年開発された最新の技術を使った塗料で、シリコン塗料の耐候性をさらに向上させたタイプです。ここでいう「ラジカル」とは、紫外線が塗膜に当たることで発生し、塗膜を劣化させる原因の一つとされる化学反応のことです。
- 特殊な成分がラジカルの発生を抑制
これにより、塗膜の劣化速度を大幅に遅らせる。 - 耐久年数は約12〜15年
シリコン塗料よりも長持ちし、コストパフォーマンスに優れる。 - 塗膜が柔軟でひび割れしにくい
建物の微細な動きにも対応しやすい。
ラジカル制御型は主に有機成分をベースとしつつ、耐久性を高めるために制御技術を組み合わせたハイブリッド的な塗料です。
③ 両者の大きな違い
特徴 | 無機塗料 | ラジカル制御型塗料 |
---|---|---|
成分 | 無機成分(セラミック系) | 有機成分+ラジカル制御成分 |
耐久年数 | 約15〜20年以上 | 約12〜15年 |
柔軟性 | 低い | 高い |
価格 | 高め | シリコン塗料よりやや高め |
主なメリット | 超高耐久、耐熱性・耐汚染性 | 耐候性アップ、柔軟性有り |
施工時の注意点 | 取り扱いに注意が必要 | 施工性は良好 |
④ どちらを選ぶべきか?
- 超長期的な耐久性と硬い塗膜を求める場合
無機塗料が適しています。特に過酷な環境や汚染の多い地域で効果的です。 - 耐久性と柔軟性のバランスを重視したい場合
ラジカル制御型塗料がおすすめです。建物の動きに追従しやすく、割れにくいのが特徴。 - 予算面の考慮
無機塗料は価格が高めなため、コストを抑えつつ高耐候性を求める場合はラジカル制御型が選ばれやすい傾向があります。
長期コストと初期費用のバランス比較
屋根や外壁の塗装を検討するとき、多くの人が「初期費用の安さ」と「長期的なメンテナンスコスト」のどちらを重視すべきか悩みます。塗料の種類によって価格も耐久性も異なるため、費用対効果を正しく理解し、最適な選択をすることが大切です。ここでは代表的な塗料の初期費用と長期コストのバランスについて詳しく解説します。
① 初期費用と耐久年数の関係
まず、塗料ごとの初期費用と耐久年数の目安をまとめます。
塗料種類 | 初期費用(㎡あたり) | 耐久年数の目安 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 約2,500〜4,000円 | 約3〜5年 |
ウレタン塗料 | 約4,000〜6,000円 | 約7〜10年 |
シリコン塗料 | 約5,000〜7,000円 | 約10〜15年 |
フッ素塗料 | 約8,000〜12,000円 | 約15〜20年以上 |
無機塗料 | 約9,000〜13,000円 | 約15〜20年以上 |
ラジカル制御型塗料 | 約6,000〜8,000円 | 約12〜15年 |
初期費用が安いほど耐久性は低く、逆に耐久年数が長い塗料は初期費用が高い傾向にあります。
② 長期コストとは?
長期コストは「初期費用+メンテナンス費用の合計」を意味します。塗装は耐用年数が過ぎると塗り替えが必要となり、そのたびに費用がかかります。
例えば、30年間の住宅メンテナンス期間で考えた場合、
- アクリル塗料は3〜5年ごとに塗り替えが必要
そのため、約6〜10回の塗り替えが必要になり、長期的には費用がかさむ。 - シリコン塗料は10〜15年ごとに塗り替え
約2〜3回の塗り替えで済み、長期コストが抑えられる。 - フッ素・無機塗料は15〜20年ごとに塗り替え
約1〜2回の塗り替えで済み、初期費用は高いが長期コストは最も抑えられる。
③ コスト比較の具体例
30年間のメンテナンスを想定して、塗装費用をシンプルに試算します(㎡あたりの単価×100㎡×塗り替え回数)。
塗料種類 | 初期費用合計(30年) |
---|---|
アクリル塗料 | 2,500円×100㎡×10回=250万円 |
ウレタン塗料 | 5,000円×100㎡×4回=200万円 |
シリコン塗料 | 6,000円×100㎡×3回=180万円 |
フッ素塗料 | 10,000円×100㎡×2回=200万円 |
無機塗料 | 11,000円×100㎡×2回=220万円 |
ラジカル制御型塗料 | 7,000円×100㎡×2回=140万円 |
この例ではラジカル制御型塗料が最もコストパフォーマンスに優れていることがわかります。
④ バランスを取るポイント
- 初期費用を抑えたい場合はアクリルやウレタン塗料も選択肢になりますが、メンテナンス頻度が高いため長期的には費用が増えやすいです。
- 耐久性とコストのバランスを求めるなら、シリコン塗料やラジカル制御型塗料が最適。耐久年数が長く、メンテナンス回数が少なく済み、結果的に経済的です。
- 最高耐久性を重視する場合はフッ素や無機塗料が良いですが、初期費用が高額で予算と相談が必要です。
⑤ メンテナンス計画も重要
塗装は長期間のメンテナンス計画とセットで考えることが大切です。塗装後も定期点検や補修を行い、劣化を早期に発見することで、塗膜の寿命を延ばせます。適切な施工業者を選び、メンテナンスのアドバイスを受けることもポイントです。
屋根と外壁を同時施工するメリット

同時施工で節約できる足場代の目安
屋根や外壁の塗装工事を行う際、必ず必要になるのが「足場の設置」です。足場は高所作業の安全性を確保し、効率よく塗装を進めるために不可欠ですが、その費用が全体の工事費用の中でもかなりの割合を占めています。ここでは、屋根と外壁の塗装を「同時施工」することで節約できる足場代の目安や、そのメリットについて詳しく解説します。
① 足場代の一般的な相場
足場設置の費用は、住宅の大きさや形状、地域差、業者によっても異なりますが、一般的な戸建て住宅(30坪程度)での相場は以下の通りです。
- 足場設置費用:約15万〜25万円
- 足場解体費用:約5万〜10万円
- 合計:20万〜35万円程度
足場代は㎡単価で計算されることが多く、平均すると㎡あたり1,000〜1,500円程度が相場とされています。
② 屋根と外壁を別々に施工するとどうなるか?
もし屋根と外壁を別々のタイミングで施工すると、それぞれに足場を設置しなければならず、足場代が二重にかかることになります。
- 屋根塗装用の足場費用:約20万円
- 外壁塗装用の足場費用:約20万円
- 合計:40万円
このように、同じ建物に対して2回足場を組むことで、足場代だけで約40万円もの費用がかかり、非常にコスト高となります。
③ 同時施工による節約効果
屋根と外壁の塗装を同時に施工することで、足場の設置・解体は1回で済みます。そのため、足場代は片方の施工分で済むため、大幅な節約が可能です。
- 足場設置費用:20万円(片方分)
- 足場解体費用:8万円
- 合計:28万円(目安)
別々に施工した場合と比べて、約12万円〜15万円の節約になります。これは工事全体の費用から見てもかなり大きな節約効果です。
④ 足場以外の同時施工のメリット
同時施工は足場代の節約だけでなく、その他にも以下のメリットがあります。
- 施工期間の短縮
一度にまとめて作業を行うため、工事全体の期間が短くなり、生活への影響を軽減できる。 - 施工品質の向上
外壁と屋根の塗装を同時に進めることで、業者間の連携がスムーズになり、仕上がりが統一されやすい。 - メンテナンス計画が立てやすい
屋根と外壁の塗り替えを同じ時期に行うことで、次回のメンテナンスも一緒に検討できる。
⑤ 同時施工の注意点
ただし、同時施工にあたっては以下の点にも注意が必要です。
- 施工内容や塗料の種類が異なる場合は、工期や工程が複雑になることがあるため、業者とよく相談すること。
- 天候の影響で工事が延期になると、両方の施工が遅れるリスクがある。
- 施工費用の見積もりは詳細に比較検討する
業者によっては割引がある場合もあるので、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめ。
工程効率と施工期間の短縮効果
屋根や外壁塗装の工事では、足場の設置に続いて洗浄、下地処理、塗装、仕上げなど多くの工程が順番に進められます。屋根と外壁の塗装を「同時施工」することで、これらの工程が効率よく組み合わさり、全体の施工期間を大幅に短縮することが可能です。本節では、同時施工がもたらす工程効率の向上と施工期間短縮の効果について詳しく解説します。
① 工程効率の向上とは?
塗装工事は、多くの作業が段階的に進められます。通常、屋根塗装と外壁塗装を別々に行う場合、各工程ごとに作業員や資材を手配し、準備を繰り返す必要があります。そのため、作業が分断されて非効率になりやすいのです。
一方で同時施工の場合、以下のように複数の工程を連携して進めることができます。
- 足場設置は1回で済むため、準備時間が短縮
- 高圧洗浄や下地処理を一括して行うことで、洗浄機材の稼働効率がアップ
- 塗装作業を同時に進めることで、作業員の動線や資材搬入が最適化される
これにより、現場の作業効率が向上し、無駄な待ち時間や手戻り作業を減らせます。
② 施工期間の短縮効果
一般的に、屋根と外壁を別々に施工すると、それぞれの工事期間が重複せずに合計されるため、全体の工期は長くなります。例えば、
- 屋根塗装:5日間
- 外壁塗装:7日間
- 足場設置・撤去:それぞれに3日間ずつ必要
これらを合計すると、足場設置撤去も含めて約18日間かかります。
一方、同時施工では足場の設置・撤去が1回で済むため、足場関連の日数は半減。また、屋根と外壁の作業を同時進行できる工程もあるため、全体の施工期間は短縮されます。
例えば、
- 足場設置・撤去:合わせて約5日間
- 洗浄・下地処理:同時進行で約5日間
- 塗装作業:屋根と外壁で同時に進めて約7日間
合計約17日程度、またはそれ以下に抑えられる場合もあります。
③ 施工期間短縮のメリット
施工期間が短くなることには、施主にとって以下のようなメリットがあります。
- 生活への影響が少ない
騒音や臭い、職人の出入りが短期間で済み、ストレスが軽減される。 - 工事費用の追加リスクが減る
天候不良などで工期が延びるリスクが減り、予定外の費用発生を抑えやすい。 - 建物の劣化リスク軽減
塗装が終わるまでの間、建物が雨風にさらされる期間が短くなり、劣化リスクを減らせる。
④ 同時施工の現場管理のポイント
ただし、同時施工には効率化の反面、以下の管理上のポイントもあります。
- 作業エリアの分担と安全管理
屋根と外壁を同時に作業する場合、職人の動線が交差しやすく、事故防止のための現場管理が重要。 - 工程の調整
塗装の乾燥時間や順序など、塗料の種類に応じた適切なスケジュール調整が求められる。 - 資材や機材の搬入計画
一度に多くの資材を搬入するため、現場の保管スペースや搬入経路の確保が必要。
セット割引の有無と業者選びのポイント
屋根や外壁の塗装工事を同時に依頼すると、「セット割引」が適用されるケースがあります。セット割引は、工事費用の負担を軽減できるうえ、工事をまとめて依頼するメリットも大きいため、多くのユーザーが気になるポイントです。本節では、セット割引の有無や割引内容、そして業者選びの際に押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。
① セット割引とは?
セット割引とは、屋根塗装と外壁塗装を同時に依頼した際に、業者が工事費用の一部を割引する仕組みです。たとえば、足場代や人件費、材料費の一部を共通化できるため、トータルコストを抑えやすくなります。
割引率は業者によって異なりますが、一般的には5%〜15%程度の割引が期待できます。一部の業者では「屋根+外壁セットパック」として料金体系を提示している場合もあります。
② セット割引が適用される条件
セット割引を受けるためには、以下のような条件を満たすことが多いです。
- 屋根と外壁を同時に施工すること
別々のタイミングや別業者への発注では割引が適用されにくい。 - 一括見積もりを依頼すること
工事内容をまとめて見積もることで、割引交渉がしやすくなる。 - 一定の工事規模があること
小規模な工事では割引が適用されないことも。
③ セット割引のメリット
セット割引の適用により、以下のようなメリットがあります。
- トータルコストの削減
足場設置や職人の出張費などの共通部分で割引が受けられ、費用負担が軽減される。 - 施工スケジュールの調整がスムーズ
同一業者が一括管理するため、工期の調整や進捗管理が効率的になる。 - 保証内容が一元化される場合が多い
屋根と外壁の塗装工事に対して統一された保証が受けられ、アフターケアが簡単。
④ 業者選びのポイント
セット割引の有無だけで業者を決めるのは危険です。以下のポイントを踏まえて、信頼できる業者を選びましょう。
1. 見積もりの内訳を詳しく確認する
割引額だけに注目せず、材料費、施工費、足場代などの内訳が明確で適正かを確認しましょう。
2. 施工実績と評判をチェックする
過去の施工例や口コミ、第三者機関の評価を参考に、品質と信頼性を判断します。
3. 保証内容を比較する
施工後の保証期間や内容を確認し、万が一のトラブル時に対応がしっかりしているかを見極めましょう。
4. コミュニケーションのしやすさ
質問や相談に丁寧に対応してくれるか、施工中の連絡体制が整っているかも重要です。
⑤ 交渉のポイント
セット割引を最大限に活用するために、見積もり時に以下を試みましょう。
- 複数社から見積もりを取って比較する
割引率やサービス内容の違いを比較検討できます。 - 割引交渉を遠慮せず行う
明確にセット割引の希望を伝え、具体的な割引率を確認しましょう。 - 追加サービスの有無も確認する
割引だけでなく、無料の点検サービスやメンテナンスプランが付くこともあります。
塗料・仕様の統一による統一感
屋根と外壁の塗装を同時に行う際、塗料や仕様を統一することには大きなメリットがあります。外観の美しさや耐久性の向上だけでなく、メンテナンス面でも効率的な管理が可能になるため、塗料・仕様の統一は非常に重要なポイントです。本節では、塗料・仕様の統一がもたらすメリットや注意点について詳しく解説します。
① 統一感の重要性
住宅の外観は、屋根と外壁の色や質感のバランスによって印象が大きく左右されます。塗料や仕上げの仕様がバラバラだと、色ムラや質感の違いが目立ち、せっかくの塗装が美しく見えにくくなります。
一方で、同じ塗料や仕様を使って塗装すると、色調や艶感が統一されるため、住宅全体の美観が向上します。統一感のある仕上がりは、住宅の資産価値を高める効果も期待できます。
② 塗料の種類と特徴を揃えるメリット
屋根と外壁は環境条件や求められる性能が異なるため、塗料選びが難しい面もあります。しかし、可能な範囲で塗料の種類やグレードを揃えることで、以下のようなメリットがあります。
- 耐久性のバランスが取れる
屋根も外壁も同じ耐久年数を目指せるため、次回の塗り替えタイミングを合わせやすい。 - メンテナンスが簡単になる
同じ塗料を使うことで、補修や部分塗装の際にも材料の選定がスムーズ。 - 保証やアフターサービスが統一されやすい
一つの業者に依頼し、同じ塗料を使うことで、保証期間や対応範囲が明確になる。
③ 色選びのポイント
色の選択は住宅のイメージを左右する大切な要素です。屋根と外壁で色を変える場合もありますが、基本的にはトーンを合わせることで統一感を出します。
- 同系色で揃える
屋根と外壁の色をトーン違いの同系色にすることで調和がとれる。 - アクセントカラーの使い分け
外壁や破風板、軒天などにアクセントカラーを使いながらも、屋根とのバランスを考慮する。 - サンプルやカラーシミュレーションの活用
施工前に色見本やシミュレーション画像でイメージを確認することが大切。
④ 仕様統一の注意点
塗料や仕様の統一にはメリットが多いものの、いくつか注意点もあります。
- 屋根と外壁では性能要件が異なる
屋根は紫外線や雨風の影響が強いため、屋根専用の塗料を選ぶ場合もある。 - 素材に合った塗料選定が必要
屋根の素材(スレート、金属瓦など)や外壁の素材(モルタル、サイディング)に適した塗料を選ぶこと。 - 予算とのバランス
高機能塗料はコストが高くなるため、予算と性能のバランスを考慮して選ぶ。

まとめ
屋根と外壁の塗装工事は、住宅の美観や耐久性を維持するために欠かせない重要なメンテナンスです。この記事では「屋根外壁塗装 相場」をテーマに、費用の目安や塗料の種類、施工のポイント、そして業者選びのコツまで詳しく解説してきました。
まず、塗装工事の費用相場は塗料の種類や施工範囲、建物の規模によって大きく変動します。一般的に、屋根と外壁を別々に施工するよりも、同時に行うほうが足場代などの共通経費を抑えられ、トータルコストを軽減できるケースが多いです。足場の設置・撤去は工事費用の中でも大きな割合を占めるため、この部分を効率化できるのは大きなメリットです。
また、塗料選びも相場に大きく影響します。アクリル塗料やウレタン塗料は比較的安価ですが耐久年数が短いのに対し、シリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料は耐久性が高く、その分費用も上がります。長期的なコストパフォーマンスを考慮し、初期費用だけでなく、メンテナンスや塗り替えの周期を見据えた選択が重要です。
さらに、屋根と外壁の塗装を同時施工することで、工程効率がアップし施工期間が短縮されるため、生活への負担も軽減されます。施工期間が短いと天候の影響を受けにくく、追加費用のリスクも抑えられます。一方で、同時施工は作業の調整や安全管理が複雑になるため、信頼できる業者に依頼することが成功のカギとなります。
業者選びにおいては、セット割引の有無や割引率も重要な検討材料ですが、価格だけで決めるのは避けましょう。施工品質、保証内容、実績、そしてコミュニケーションのしやすさを総合的に判断し、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが大切です。
最後に、塗料や仕様を屋根と外壁で統一することによって、住宅全体の外観に統一感が生まれ、美観が向上します。同じ耐久性を持つ塗料を使うことで、次回のメンテナンス時期も合わせやすく、補修もスムーズに行えるというメリットがあります。とはいえ、屋根と外壁では素材や環境条件が異なるため、専門家のアドバイスを受けながら適切な塗料を選ぶことが重要です。
Q&A 屋根外壁塗装の相場についてよくある質問
- 屋根と外壁の塗装を同時に行うと本当に費用が安くなるの?
-
はい、同時施工では足場代や人件費などの共通部分をまとめて工事できるため、別々に行うよりも費用を抑えやすいです。セット割引を用意している業者も多く、5~15%程度の割引が期待できる場合があります。ただし、業者や工事内容によって差があるので見積もりを比較することが大切です。
- 屋根と外壁で使う塗料は同じにした方がいいですか?
-
理想的には耐久年数や性能のバランスを考えて、同じシリーズや同等のグレードの塗料を使うことをおすすめします。これにより見た目の統一感が出て、メンテナンスや次回の塗り替えもまとめやすくなります。ただし、屋根と外壁は環境条件が異なるため、素材に適した塗料を選ぶ必要があります。
- 塗装工事の相場はどのくらいが目安ですか?
-
一般的には、屋根塗装が約30万円〜70万円、外壁塗装が約60万円〜120万円程度が相場の目安です。ただし、建物の大きさ、劣化状態、使用する塗料の種類やグレード、施工業者によって大きく異なります。正確な費用は複数業者から見積もりを取ることが重要です。
- 足場代はどのくらいかかりますか?
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足場代は工事費用の中でも大きな割合を占め、一般的に10万円〜30万円程度が目安です。屋根と外壁を同時に塗装する場合は足場を共用できるため、足場代が1回分で済み、コスト削減につながります。
- 塗装工事の保証はどのような内容ですか?
-
多くの業者は施工後、塗膜の剥がれや膨れなどのトラブルに対して5年〜10年程度の保証を付けています。保証内容や期間は業者によって異なるため、見積もり時に必ず確認し、書面での保証書を受け取ることをおすすめします。
- 塗装の施工期間はどのくらいかかりますか?
-
屋根と外壁の塗装を同時に行う場合、一般的には10日〜2週間程度が目安です。気象条件や建物の状態によって多少前後します。施工期間を短縮することで、生活への影響を減らし、追加費用のリスクも抑えられます。
- 信頼できる業者の選び方は?
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施工実績の確認、口コミや評判のチェック、見積もり内容の透明性、保証やアフターサービスの充実度、そして担当者とのコミュニケーションの取りやすさが重要です。複数社から見積もりを取り、比較検討することも欠かせません。